ビジネスの成功のための効果的なトレーニングの設計?運用
Naotake Momiyama
Versatile HR Executive for Business Success / Global HR Visionary with Record-Breaking Results in Leading Diverse Multinational Companies / Passionate about Developing HR Professionals and Business Leaders / Publisher
このニュースレターは、ビジネスの成功に貢献したいと思っているHRのプロフェッショナルと組織マネジメントをより効果的に行いたいと思っているリーダーに対して、私の経験を共有することでお役に立つことを目指しています。
今回は、トレーニングについて書いてみたいと思います。私は、以下の図を活用して組織の状態を理解していますが、現代のビジネス環境において、効果的なトレーニングは企業の成功に欠かせない要素となっています。
しかし、一般的にトレーニングに関してよく言われている問題点としては、「トレーニング内容が実務に直結していない」、「参加者のモチベーションが低い」、「トレーニング後のフォローアップが不足している」のようなものが挙げられます。これらの問題点を解消し、ビジネスの成功をもたらすために、私は、トレーニングを「ニーズを把握する」「理解する」「やってみる」「振り返る」「できる」という考えに基づいて設計し、デリバリーしています。以下では、それぞれのステップについて詳しく説明します。
ニーズを把握する
トレーニングを具体的に設計する前に、ビジネスリーダーが感じている問題点を正確に把握することが重要です。ビジネスリーダーが感じている問題点を深堀すると、実は違うところに課題がある場合もあります。ビジネスリーダーが問題だと感じた場面をより具体的に把握することで、より根本的な課題があることが分かる場合があります。
例えば、ビジネスリーダーから「プレゼンテーションのトレーニングをしてほしい」という依頼を受けたことがありました。実際にそのビジネスリーダーが、プレゼンのスキルに問題があると認識した場面を聞いていくと、プレゼンのスキルよりもロジカルシンキングのスキルに関するトレーニングをしたほうが良いということもありました。ビジネスリーダーからトレーニングをしてほしいという依頼があった場合には、そのビジネスリーダーが問題だと感じた場面を具体的に理解することで、実際にトレーニングをすべき内容をより深く理解することが重要です。
理解する
実際にトレーニングを実施する際には、そのトレーニングのトピックについて、参加者が具体的に理解できるようにします。ここでは、WhyやWhat、Howの観点で構成します。参加者の状況によって、講師が説明して質疑応答をするという形で行うこともありますし、生成AIなどを使って参加者に調べてもらうという形で行うこともできます。
例えば、管理職向けのコーチングのトレーニングであれば、「なぜ管理職はコーチングをする必要があるのか」や、「コーチングとは」、「コーチングの具体的な行い方」などについて参加者が理解できるようにします。ここで、参加者が実際には、ティーチングの手法を良く活用していることによってメンバーの自発性があまり育っていないことにビジネスリーダーが問題意識を持っていて、その解決の一つの手法としてコーチングのトレーニングをする状況では、「なぜコーチングをする必要があるのか」についてより力点をおきます。
参加者の特徴によって、自ら調べることで納得しやすい場合には、自分たちで調べてみるという方式をとります。説明を聞くことで納得しやすい場合には、講師が説明する方式をとったりします。自分たちで話し合うことで納得する場合には、グループでのディスカッションの方式をとったりします。いずれにしても、参加者の状況や特徴によって、どのようにしたらWhy、What、Howについて参加者の理解が深まるかを考慮します。
やってみる
「理解する」で学んだことを、実際に行ってみます。例えば、傾聴のスキルのトレーニングでは、3人一組のグループで、実際に傾聴のロールプレイングを行います。傾聴を行う役、相手役、オブザーブ役に分かれて、実際にロールプレイングを行います。時間があるのであれば、3名が全ての役を担えるようにします。
また、その際に、「理解する」で学んだことをより実感してもらうようにします。例えば、最初は傾聴のスキルを意識しないで普段通り行ってもらいます。次に、相槌など傾聴のスキルとしてよく言われていることを意識して行ってもらいます。最後に、傾聴の本質である「相手の意図や感情を理解する」ことに焦点を当てて行ってもらいます。
振り返る
ロールプレイング実施後、実際に行ってみることで得た気づきや学びを振り返り、次回行う際にはどのようなところを意識して行うのかについてのアクションを明確にします。
例えば、先ほどの傾聴のロールプレイングでは、ロールプレイング終了後、相手役が実際に傾聴をしてもらったことで「どのような感情になったのか」や「あの場面ではこのように聞いてもらえたらより内省が深まった」など、実際に傾聴をしてもらったことで気づいたこと共有します。オブザーブ役は、客観的に観察していたことで気づいたことを共有します。傾聴を行う役は、実際に傾聴を行ってみてどんな気づきがあったのかについて共有します。
また、先ほど書いた「普段通り」「相槌等を意識」「意図や感情を理解することに集中」の観点で行った場合の気づきについても、それぞれの役の観点でフィードバックを共有しグループで話し合ってもらいます。
そして、それぞれの参加者が、次回行う場合には自分は何を意識して行うのか、アクションを明確にします。時間があれば、再度ロールプレイを行い、自分が立てたアクションを意識して行います。つまり、「やってみる」と「振り返る」がぐるぐる回るようにします。時間がなければ、自分が立てたアクションを、普段のチームマネジメントで行ってもらうようにします。
更に、別日で時間が確保できるようであれば、フォローアップの時間を確保します。後日また参加者が集まり、実際にチームに戻って傾聴を実践してみてどうだったかについて共有します。その際に、自分が立てたアクションを行ってみて、うまくいったところと想定通りいかなかったところについてグループ内で共有し、次回はどうすればいいかについて話し合います。具体的に、そのケースを題材としてロープレをしてみるのも効果的です。
このようなフォローアップによって、「やってみる」「振り返る」のループが回るようにします。「やってみる」「振り返る」を続けていくことで、成長のスピードやプロセスは人それぞれ異なりますが、最後には「できる」ようになっていきます。自分の状況に合わせて、継続していくことが重要です。
まとめ
トレーニングを効果的に行うためには、参加者が具体的に「理解する」、実際に「やってみる」、その後「振り返る」というサイクルを繰り返し、最終的に「できる」状態に到達することが重要です。ビジネスリーダーが感じている問題点を正確に把握し、参加者の状況や特徴に合わせたトレーニングを提供することで、組織全体のスキルアップが期待できます。
最後までお読みいただきありがとうございます。今回の記事が、少しでも多くの人々の参考になれば幸いです。
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皆さんは、どのようにトレーニングを設計?運用されていますか?